(4) ASSIST
 禁煙開始が決まったら、まず禁煙開始日を設定する。禁煙外来を受診した場合は、当日か翌日を念頭においていることが多いので、その意欲を賞賛し希望を優先する。試験や試合など負荷のかかるものが直近にあって、少しあとを希望する場合も応じてよい。大事なのは、彼らの自主性を重んじることである。
 短期間の喫煙経験でも、当初の離脱症状は大人なみか、それ以上である。最初の1〜2週間はかなり重度だと想定して説明しておく。禁煙にあたって心配している点を聞き出し、一緒に解決策を考える。米国の未成年向きセルフヘルプガイド(文献13)にある症状と対処法を図表13に示した。
 離脱症状の強さに反比例して、初期の離脱症状は大人より速やかに消失する。しかし、それが油断につながり再発が多い。1ケ月間は相当注意が必要であり、カレンダーやノートなどのような記録ができるように工夫したものを渡す。そのほか、指導者からの温かい励まし、家族、友人も誘うことなどが禁煙継続に役立つ。
 ニコチン代替療法に関しては、ニコチンパッチの使用者で成功率が高かったという報告がある(文献9)。しかし、それでも6ヵ月時点で20%に至っていない(図表14)。逆に、心理的依存や口寂しさが中心の場合、パッチよりガムがよい場合もある。いずれにしろ、薬に頼って、行動療法的な対処法を行わず、同じ友人と同じ場所で同じようにすごしていたら、高率に再発するので、しっかりしたカウンセリングが望まれる。禁煙が大きな人生の一里塚になって明るい未来が待っていることを保証するような前向きな会話が重要である。





【会話例】
・よーし。いっしょに頑張ろう。ところで、吸ってしまいそう・・・って思う場面があれば、今のうちに準備しておこう。朝起きた時とか、遊びにいった時とか、どう?大丈夫かな?
・いろいろな研究で、禁煙開始してから1週間は、けっこうつらいことがわかっているけど、一時的なものだから心配ないしね。蝉とか蝶とかがさなぎから脱皮するようなものだよ。

引用文献
(9) Moolchan ET, Robinson ML, Ernst M, et al: Safety and Efficacy of the Nicotine Patch and Gum for the Treatment of Adolescent Tobacco Addiction. Pediastrics 2005: 115, e407-e414
(13) Annne Arundel Country Department of Health: I QUIT! What To Do When You're Sick of Smoking, Chewing, or Dipping.

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