【コラム】精神科医による禁煙治療
精神疾患患者については、精神科医が自分の患者に対して禁煙治療することが望ましい。精神科医ならすでに「信頼関係」が構築されている場合が多く、「こまめな診察」「長期のフォロー」が可能なうえ、精神症状の変化・抑うつ症状・薬剤副作用を把握しやすく、主剤の調整や抗うつ薬ノルトリプチリンを含む「薬物療法」が容易、「家族・周囲のサポート(含心理社会的治療)」も得やすい。精神疾患患者は禁煙治療のために他の医療機関を受診しなくてすむ上、経済的負担も少なくてすむ。特に障害者総合支援法第58条の自立支援給付認定者では禁煙治療が保険診療であれば医療費が軽減される。しかし、現実には精神科の病院やクリニックで禁煙治療を行っているところは少なく、今後が期待される。

【サマリー】




 すべての精神疾患患者に喫煙歴を聞き、状況に応じてタバコについての正しい情報を伝えた方がよい。禁煙治療時には精神症状の変化・抑うつ症状・薬剤血中濃度をこまめにモニターし、長期にフォローする。薬物療法は有効で、認知行動療法の併用はさらに禁煙率を高める。精神科医や他の医療保健従事者との連携が望ましい。精神科病院の敷地内禁煙は患者、特に入院患者の禁煙に有効である。


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