4.禁煙治療にあたっての留意点
(1)精神科治療歴を聞くことは必須
精神疾患を持っているか、既往があるかの問診は必須である(図表17)。精神疾患があれば治療薬の選択やフォローのしかたに前述したような留意がいるからである。
WHOによると精神疾患の生涯罹患率は25%とされる。また、統合失調症は全人口の約1%、うつ病の生涯罹患率は約10%、通院中の精神疾患患者数が日本全国で300万人以上などを考え合わせると、今、目の前で禁煙を希望している患者さんが精神疾患を持っている可能性は少なくない。見た目では中々わからないので問診票で尋ねるだけではなく、口頭でも聞くのが望ましい。
(1)精神科治療歴を聞くことは必須
精神疾患を持っているか、既往があるかの問診は必須である(図表17)。精神疾患があれば治療薬の選択やフォローのしかたに前述したような留意がいるからである。
WHOによると精神疾患の生涯罹患率は25%とされる。また、統合失調症は全人口の約1%、うつ病の生涯罹患率は約10%、通院中の精神疾患患者数が日本全国で300万人以上などを考え合わせると、今、目の前で禁煙を希望している患者さんが精神疾患を持っている可能性は少なくない。見た目では中々わからないので問診票で尋ねるだけではなく、口頭でも聞くのが望ましい。
(2)うつ症状の把握
禁煙後の抑うつはしばしばみられるがうつ症状の把握は意外と難しい。図表14を参考に視診・問診などでうつのチェックをするとよいが、一般の禁煙治療の場ではCES-D(Center for Epidemiological
Studies Depression Scale合衆国国立精神保健研究所疫学的抑うつ尺度)やSDSのような自記式のうつ病スクリーニングテストを使うことが実際的であろう(図表18)。
CES-Dは「身体的症状」、「うつ感情」、「ポジティブ感情」、「対人関係」の4尺度20項目の各質問に対して『ない』『1〜2日』『3〜4日』『5日以上』のいずれかで自己評価する。総得点可能範囲は0−60点で16点以上の場合はうつ傾向があると判定される。「特異度」や「陽性的中立」が高く、実施判定が簡便である。検査用紙は(50部1組)4,200円で購入できる。
重症うつ病や 自殺の危険性がある場合は精神科医に紹介したほうがよい。