(4)禁煙と精神症状・・・精神症状の増悪とニコチン離脱症状の識別について
APAガイドラインの心理社会的治療の章に「精神症状の増悪の同定」の項がある。ここでは以下のように述べられている。
精神疾患患者(過去に精神症状または精神異常のあった者も含む)は禁煙後14日間以内の早めのモニタリングを必要とする。特に不安、抑うつ、睡眠障害、被刺激性、不穏状態、体重増加のようなニコチン離脱症状が他の精神疾患の症候または薬剤副作用に似ていたり、悪化させたりすることがあるからである。例えば、ニコチン依存もあるアルコール依存症患者がアルコール離脱のために禁煙病棟に入院したときの不安、抑うつ、集中困難、不眠、被刺激性と不穏状態はアルコール離脱によるものかニコチン離脱により増悪したものであろう。うつ病や統合失調症の患者において禁煙がうつや精神症状を悪化させるかどうかについて調べた前向き研究がいくつかある。禁煙の際に精神症状が安定していれば禁煙のリスクは低いとするエビデンスが多い。
抗精神病薬には喫煙により代謝が更新しより多くの薬剤量を要するものがある(図表11)。特にオランザピンで顕著で、禁煙すると薬剤が過量となり副作用(眠気・過鎮静・便秘など)が出やすくなる。これは禁煙により薬剤量を減らせるということであり、その結果、副作用減少の可能性があるということである。
以上のことから、オーストラリアのガイドラインにもあるように、精神疾患患者の禁煙治療に関しては、禁煙開始後早期の診察、精神症状・抑うつ・薬剤血中濃度(服用薬剤の効果や副作用の変化)をこまめにモニターしたほうがよいことがわかる。
APAガイドラインの心理社会的治療の章に「精神症状の増悪の同定」の項がある。ここでは以下のように述べられている。
精神疾患患者(過去に精神症状または精神異常のあった者も含む)は禁煙後14日間以内の早めのモニタリングを必要とする。特に不安、抑うつ、睡眠障害、被刺激性、不穏状態、体重増加のようなニコチン離脱症状が他の精神疾患の症候または薬剤副作用に似ていたり、悪化させたりすることがあるからである。例えば、ニコチン依存もあるアルコール依存症患者がアルコール離脱のために禁煙病棟に入院したときの不安、抑うつ、集中困難、不眠、被刺激性と不穏状態はアルコール離脱によるものかニコチン離脱により増悪したものであろう。うつ病や統合失調症の患者において禁煙がうつや精神症状を悪化させるかどうかについて調べた前向き研究がいくつかある。禁煙の際に精神症状が安定していれば禁煙のリスクは低いとするエビデンスが多い。
抗精神病薬には喫煙により代謝が更新しより多くの薬剤量を要するものがある(図表11)。特にオランザピンで顕著で、禁煙すると薬剤が過量となり副作用(眠気・過鎮静・便秘など)が出やすくなる。これは禁煙により薬剤量を減らせるということであり、その結果、副作用減少の可能性があるということである。
以上のことから、オーストラリアのガイドラインにもあるように、精神疾患患者の禁煙治療に関しては、禁煙開始後早期の診察、精神症状・抑うつ・薬剤血中濃度(服用薬剤の効果や副作用の変化)をこまめにモニターしたほうがよいことがわかる。