(14)喫煙と認知症
喫煙者は認知症や高次機能障害のリスクが高い。12ヵ月以上の観察期間のある19の前向きコホート研究のメタ解析データ(文献36)では、非喫煙者と比較した喫煙者の相対リスク(95%信頼区間)は、アルツハイマー病は1.79(1.43−2.23)、血管性認知症は1.79(1.28−2.47)であり、高次機能の低下がみられている。また、禁煙者と比較した喫煙者のアルツハイマー病のリスクは1.70(1.25−2.31)であり、高次機能は禁煙によって改善した。しかし、血管性認知症のリスクには差がなかった。日本人における前向きコホート研究(文献37)でも同様な結果が得られている。
引用文献
36) Anstey KJ, von Sanden C, Salim A, et al. Smoking as a risk factor for dementia and cognitive decline: a meta-analysis of prospective studies. Am J Epidemiol 2007; 166(4): 367-78
37) Ikeda A, Yamagishi K, Tanigawa T, et al. Cigarette smoking and risk of disabling dementia in a Japanese rural community: a nested case-control study. Cerebrovasc Dis. 2008; 25(4): 324-31