6.ニコチン依存症管理料適用上の注意
(1)診療時の注意
 以前に保険診療で禁煙治療を実施した患者が再度禁煙治療を希望した場合は、前回の治療開始日から1年を超えていないと、ニコチン依存症管理料は適用されない。この場合は自由診療となる。
 また、ニコチン依存症管理料を適用して保険診療を行う場合には、治療管理の要点を診療録に記録する必要がある。当該保険医療機関において実施した過去一年間のニコチン依存症管理料の平均継続回数が二回未満である場合には、それぞれの所定点数の100分の70に相当する点数により算定される。ただし、過去一年間にニコチン依存症管理料の算定の実績を有しない場合は、この限りでない。

(3)ニコチン依存症管理料は、初回算定日より起算して1年を超えた日からでなければ、再度算定することはできない。
(4) 治療管理の要点を診療録に記載する。
(14)(2)に規定するニコチン依存症管理料の算定対象 となる患者について、「注1」に規定する厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合には、所定点数の100 分の70 に相当する点数を算定する。
(厚生労働省保険局医療課長通知  保医発0304第1号、令和4年3月4日)

※ニコチン依存症管理料の注1に規定する基準
(1) ニコチン依存症管理料を算定した患者の指導に関する過去1 年間の平均継続回数は、次のア及びイを
  合計した数をウの数で除して算出する。ただし、過去1年間に当該医療機関において当該管理料を算定
  している患者が5人以下である場合は、当年3月に初回の治療を行った患者を、アからウまでの数から
  除くことができる。
 ア 1年間の当該保険医療機関において実施したニコチン依存症管理料1の延べ算定回数(初回から5回
   目までの治療を含む。)
 イ 1年間の当該保険医療機関において実施したニコチン依存症管理料2を算定した患者の延べ指導回数
 ウ ニコチン依存症管理料1のイに掲げる初回の治療の算定回数及びニコチン依存症管理料2の算定回
   数を合計した数
(2) ニコチン依存症管理料を算定した患者の指導に関する過去1年間の平均継続回数の計算期間は、前年4
  月1日から当年3月31日までとし、当該平均継続回数の実績に基づく所定点数の算定は、当年7月1日よ
  り行う。
(3) 注1に規定する基準を満たさない場合には、ニコチン依存症管理料の所定点数の100 分の70に相当す
  る点数を算定することとなるが、過去1年間に当該管理料の算定の実績がない場合は、この限りでな
  いこと。
(厚生労働省保険局医療課長通知 保医発0304第3号、令和4年3月4日)

(2)禁煙成功率の届出
 ニコチン依存症管理料を適用して実施した禁煙治療について、禁煙成功率を地方厚生(支)局に報告する必要がある。

(7) ニコチン依存症管理料を算定した患者の指導の平均継続回数及び、喫煙を止めたものの割合等を、
 別添2の様式8の2を用いて、地方厚生(支)局長に報告していること。
(厚生労働省保険局医療課長通知保医発0304第3号、令和4年3月4日)

(3) 情報通信機器を用いた診察の注意
 情報通信機器を用いた診察は当該保険医療機関内において、初回の診察と同一の医師が厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針に沿って行う。投薬の必要がある場合は、区分番号「F100」処方料または「F400」処方箋料を別に算定できる。予約に基づく診察による特別の料金は徴収できない。情報通信機器の運用に要する費用は別途徴収できる。

(5) 情報通信機器を用いて診察を行う医師は、初回に診察を行う医師と同一のものに限る。
(6) 情報通信機器を用いて診察を行う際には、厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針
  に沿って診療を行う。
(7) 情報通信機器を用いた診察は、当該保険医療機関内において行う。
(8) 情報通信機器を用いた診察時に、投薬の必要性を認めた場合は、区分番号「F100」処方料又は区
  分番号「F400」処方箋料を別に算定できる。
(9) 情報通信機器を用いて診察を行う際には、予約に基づく診察による特別の料金の徴収を行うことはで
  きない。
(10) 情報通信機器を用いた診察を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直
   接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる。
(厚生労働省保険局医療課長通知  保医発0304第1号、令和4年3月4日)

(4) 禁煙治療用アプリ及びCOチェッカー
 ニコチン依存症管理料を算定する患者に禁煙の治療補助を目的に、禁煙治療用アプリとCOチェッカーを併用する場合に限り算定することができる。禁煙治療用アプリはニコチン依存症における心理的依存への治療介入を目的に開発されたもので、ランダム化比較試験(RCT)により有効性が確認されている。現在のところ、保険診療で本アプリを処方できる対象は、呼気一酸化炭素濃度が上昇(10ppm以上)するたばこ製品を使用しているニコチン依存症の喫煙者で、禁煙補助薬としてバレニクリンを処方する患者に限られている。

(5) ニコチン依存症管理料2を算定する際の注意
 ニコチン依存症管理料2を算定する場合は、患者の同意を文書により得たうえで、初回指導時に指導計画書を患者に交付し、その写しを診療録に添付する。指導予定日に受診しなかった患者には電話等によって受診を指示し、受診を中断する場合にはその理由を聴取し、診療録等に記録する。ニコチン依存症管理料2を算定する場合でも、2から4回目の指導を情報通信機器を用いて実施することができる。

(11) ニコチン依存症管理料2を算定する場合は、患者の同意を文書により得た上で初回の指導時に、診療
   計画書を作成し、患者に説明し、交付するとともに、その写しを診療録に添付すること。
(12) ニコチン依存症管理料2を算定した患者について、2回目以降の指導予定日に受診しなかった場合
   は、当該患者に対して電話等によって、受診を指示すること。また、受診を中断する場合には、受診
   を中断する理由を聴取し、診療録等に記載すること。
(13) ニコチン依存症管理料2を算定する場合においても、2回目から4回目の指導について、情報通信機
   器を用いて実施することができる。なお、その場合の留意事項は、(5)から(10)まで及び(12)に示す
   ものと同様である。
(厚生労働省保険局医療課長通知  保医発0304第1号、令和4年3月4日)

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