(2)呼気一酸化炭素濃度測定器
 喫煙の客観的指標として、呼気中の一酸化炭素(CO)濃度を測定する機器である。喫煙者の呼気CO濃度は通常8ppm以上であり、常に「異常値」となるため、喫煙の動機づけに役立つ。一方、呼気CO濃度はその半減期が3〜5時間と短く、禁煙後すぐに正常値に戻るため、禁煙を継続する励みになる。




 呼気CO濃度は1日の喫煙本数とほぼ同じ値になることが多いとされている。ただし、これ以外にも測定当日の喫煙本数、最終喫煙からの時間、タバコの吸い方(吸い込む程度、吸う長さ、吸うピッチ)などでも変化する。呼気一酸化炭素濃度の半減期が3〜5時間であるため、最後の喫煙から診察まで数時間から半日以上経過している場合は、一酸化炭素濃度の測定値が上昇しないこともある。 加熱式たばこには一酸化炭素がごく少量しか含まれていないため、加熱式たばこのみを使用する場合は、呼気一酸化炭素濃度測定器で喫煙状況を客観的に確認することは難しくなる。加熱式たばこのみを使用する喫煙者で、かつ初回問診時に呼気一酸化炭素濃度の上昇がみられなかった者に対しては、再診での呼気一酸化炭素濃度測定を省略できる。再診4(最終回、5回目)において呼気一酸化炭素濃度の測定を省略した場合は、禁煙証明書の提出、確認をもって禁煙継続の状況を評価する(文献3)。
 保険診療による禁煙治療で使用する呼気一酸化炭素濃度測定器は、医療機器としての承認を受けている必要があり、10〜15万円程度で購入できる。各測定器により喫煙者と非喫煙者のカットオフ値の取扱いが異なるので留意する。


届出の際には、保有する機器の機種、メーカー名、保有台数を申告する。

(3) 医療機関の禁煙要件
 ニコチン依存症管理料の施設基準の1つに、「敷地内禁煙」がある。建物内禁煙であっても、屋外に喫煙場所がある場合は施設基準を満たさない。もちろん院内に喫煙場所がある場合も届出はできない。ただし、保険医療機関が建造物の一部分を用いて開設されている場合は、当該保険医療機関の保有又は借用している部分が禁煙であれば届出ができる。また、病院の敷地の一部が離れた場所にあり、その場所が医療を提供しない施設(倉庫等)の場合は、禁煙である必要はない。

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