1.はじめに
2019年の国民健康栄養調査によると、喫煙者の約3割がたばこをやめたいと考えている(文献1)。この割合は、たばこ価格が約110円引き上げられた2010年をピークに減少している。その理由として、2010年以降、国レベルでインパクトのある政策が実施されてこなかったことが考えられる。また、2016年から始まった加熱式たばこの流行の影響も考えられる。 国民健康栄養調査は新型コロナ感染症の流行拡大を受けて、2020年から少なくとも2年間中止されているが、2020年の改正健康増進法の完全施行や2018年から始まった5年にわたるたばこ税・価格の段階的引上げなどにより、今後同割合がどのように推移するかを注視する必要がある。
喫煙者が禁煙を希望する主な理由には、将来の健康への懸念や現在の健康状態、喫煙に要する費用、喫煙場所の制限、家族からの圧力、医師からの勧めなどがあげられる。一方、喫煙を継続する主な理由には、楽しみ、暇つぶし、ストレス解消の他、集中力維持、体重コントロールなどがあげられる(文献2)。
喫煙はこれまで個人の習慣や嗜好ととらえられる傾向が強かったが、近年の研究の結果、喫煙習慣の本質はニコチン依存症であることが明らかになり、治療が必要な疾患であるという認識も広まりつつある。
本章では、喫煙に対する認識の変遷、ニコチン依存症のメカニズム、ニコチン依存症の診断基準やスクリーニング方法について解説する。
引用文献
1)厚生労働省: 令和元年国民健康・栄養調査報告. 2021.
2)McEwen A, Hajek P, McRobbie H, et al. Manual of Smoking Cessation. A Guide for Counsellors and Practitioners. 2006.
2019年の国民健康栄養調査によると、喫煙者の約3割がたばこをやめたいと考えている(文献1)。この割合は、たばこ価格が約110円引き上げられた2010年をピークに減少している。その理由として、2010年以降、国レベルでインパクトのある政策が実施されてこなかったことが考えられる。また、2016年から始まった加熱式たばこの流行の影響も考えられる。 国民健康栄養調査は新型コロナ感染症の流行拡大を受けて、2020年から少なくとも2年間中止されているが、2020年の改正健康増進法の完全施行や2018年から始まった5年にわたるたばこ税・価格の段階的引上げなどにより、今後同割合がどのように推移するかを注視する必要がある。

喫煙者が禁煙を希望する主な理由には、将来の健康への懸念や現在の健康状態、喫煙に要する費用、喫煙場所の制限、家族からの圧力、医師からの勧めなどがあげられる。一方、喫煙を継続する主な理由には、楽しみ、暇つぶし、ストレス解消の他、集中力維持、体重コントロールなどがあげられる(文献2)。

喫煙はこれまで個人の習慣や嗜好ととらえられる傾向が強かったが、近年の研究の結果、喫煙習慣の本質はニコチン依存症であることが明らかになり、治療が必要な疾患であるという認識も広まりつつある。
本章では、喫煙に対する認識の変遷、ニコチン依存症のメカニズム、ニコチン依存症の診断基準やスクリーニング方法について解説する。
引用文献
1)厚生労働省: 令和元年国民健康・栄養調査報告. 2021.
2)McEwen A, Hajek P, McRobbie H, et al. Manual of Smoking Cessation. A Guide for Counsellors and Practitioners. 2006.
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