5.ニコチン依存症のスクリーニングテスト

 ここでは、わが国で2006年4月から始まった保険による禁煙治療においてニコチン依存症の診断に用いられているTDS(Tobacco Dependence Screener)(文献16)と、体内へのニコチンの摂取という生理学的な観点からニコチン依存の程度を簡易に評価するためのFTND(The Fagerström Test for Nicotine Dependence)(文献17)について解説を行う。

(1) TDS(Tobacco Dependence Screener)

 TDSは、WHOの「国際疾病分類第10版」(ICD-10)とアメリカ精神医学会の「精神疾患の分類と診断の手引き」(DSM-III-R、IV)に準拠して、主に精神医学的な観点からニコチン依存症を診断することを目的として、日本人を対象に開発されたニコチン依存症のスクリーニングテスト(簡易診断ツール)である(文献16)。TDSは10項目の質問で構成されており、「はい」を1点、「いいえ」あるいは質問に該当しない場合を0点として合計点が5 点以上をニコチン依存症と診断する。


 このTDSによるニコチン依存症の診断は、禁煙治療の保険適用にあたり必須の患者要件の1つとして定められている(文献15)。


引用文献
15)日本循環器病学会, 日本肺癌学会, 日本癌学会,日本呼吸器学会: 禁煙治療のための標準手順書 第6版. 2014. http://www.j-circ.or.jp/kinen/anti_smoke_std/
16)Kawakami N, Takatsuka N, Inaba S, et al. Development of a screening questionnaire for tobacco/nicotine dependence according to ICD-10, DSM- V -R and DSM- W. Addictive Behaviors, 24: 155-166, 1999.
17)Heatherton TF, Kozlowski LT, Frecker RC, et al. The Fagerström Test for Nicotine Dependence: a revision of the Fagerström Tolerance Questionnaire. Br J Addict, 86: 1119-1127, 1991.


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