(2)電話によるフォローアップの支援内容
 初回の個別面接で禁煙開始日を設定した喫煙者には、禁煙が継続できるよう電話によるフォローアップを行います。電話によるフォローアップの時期の目安は、初回面接日から2週間後、1ヵ月後、2ヵ月後、6ヵ月後の計4回です。フォローアップに要する時間は、5分程度を予定しています。
 電話によるフォローアップの内容や時間については、OTC薬を使って禁煙している場合や自力で禁煙している場合は、カウンセリングを十分受けていないことが多いため、少し時間をかけて行います。一方、禁煙治療を利用している喫煙者は、医療機関で禁煙のためのカウンセリングやアドバスを受けているため、特に問題がなければ禁煙の経過を確認し、禁煙が継続していることを賞賛したり、励ましたりする程度の内容となり、あまり時間をかけずにフォローアップを行うことができます。
 フォローアップの主な内容は、@喫煙状況とその後の経過の確認、A禁煙継続のための問題解決カウンセリングです。

@ 喫煙状況とその後の経過の確認
 フォローアップではまず喫煙状況とその後の経過の確認を行います。初回の個別面接から2週間後にあたる1回目のフォローアップでは、本人が選択した禁煙の方法と禁煙開始日を確認しておきます。禁煙治療を利用した場合は、禁煙ができると自己判断で禁煙治療を中断してしまうこともあるので、12週間の治療を完了したたほうが禁煙成功率が高いことを伝え、治療を完了するようにアドバイスします。OTC薬を使っている場合は、離脱症状を十分に抑えられているかどうかを確認します。ニコチンガムについては、噛み方が間違っていると効果が低下するので、ニコチンガムを使っていても、効果を実感できていない場合は、まずは噛み方の確認と指導を行うことが重要です。喫煙本数が多い喫煙者の場合は、OTC薬では離脱症状が十分に抑えられない可能性があります。その場合は、禁煙治療を受けるようにアドバイスします。
禁煙ができている場合は「よくがんばりましたね」と禁煙に踏み出せたことや禁煙できていることを賞賛します。この言葉は、喫煙者にとって何よりのご褒美となります。
禁煙して1ヵ月が経過すると禁煙がある程度安定してきますが、吸いたい気持ちはまだしばらく残ります。アルコール、過労や仕事上のストレス、気分の落ち込みなど、ちょっとしたきっかけで喫煙は再開しやすいので、注意するよう声かけをしておきましょう。
2回目以降のフォローアップでは、本人が実感する禁煙の効果について聞き出しておきましょう。身体面の効果だけでなく、精神面や日常生活面においても禁煙の効果を確認し、禁煙継続の励みにしてもらいましょう。

 A禁煙継続のための問題解決カウンセリング
 禁煙継続にあたって心配していることや不安に思っている点を聞き出し、禁煙が継続できるよう支援します。たとえば、禁煙してそれほど時間がたっていない人では「たばこが吸いたいので、吸ってしまうのではないか」と心配をする場合があります。まず、本人が心配していることを受けとめます。次に、離脱症状が改善しても吸いたい気持ちはしばらく残ること、しかし時間の経過とともに吸いたい気持ちがおさまっていくことを伝えます。吸いたくなったら、深呼吸をしたり、お水を飲んだりするなど対処法を身につけることが有用であることを伝え、禁煙を続ける自信が高まるよう話し合いを行います。禁煙できた日が増えていくにつれて、禁煙の自信は高まっていきます。「今日1日禁煙しよう」という気持ちで禁煙を続けるよう支援しましょう。
禁煙を継続できている場合は、禁煙後の体重増加の有無を確認しておきます。禁煙後の体重増加は、禁煙した人の約8割に見られますが、平均2〜3kg程度といわれています。喫煙本数が多い人ほど体重が増加しやすいといわれています。体重をできるだけ増やしたくない場合は、禁煙補助剤の使用と、禁煙後比較的早い時期から運動に取り組むのがよいでしょう。運動については、中等度の身体活動強度の運動(速歩、ジョギング、水泳など)がお勧めです。食事については、禁煙直後からの過度な食事制限は、喫煙欲求を高める可能性があるので、禁煙が安定するのを待ちましょう。禁煙が安定してきたら、食生活面では、食べ過ぎを改善する、肉類や油料理などの高エネルギーの食事や間食を減らして、代わりに野菜や果物を増やす、飲酒量を減らすことなどがお勧めです。

<禁煙に踏み出せなかった場合、再喫煙した場合の対応>
 フォローアップで注意すべきことは、禁煙に踏み切れなかった場合や再喫煙した場合の対応です。禁煙に踏み切れなかった場合は、その理由を聞き出し、話し合いましょう。できれば再度禁煙開始日を設定して禁煙に踏み出せるよう支援しましょう。禁煙の自信が低い喫煙者には、禁煙治療を勧めましょう。
一旦禁煙したが再び吸い始めた喫煙者に対しては、再喫煙のきっかけや禁煙の問題点を明らかにし、再チャレンジを勧めるようにしましょう。喫煙を再開した人では、喫煙を再開したこと自体を問題にしてくじけたり、自己嫌悪に陥ったりする場合があります。禁煙した人が再喫煙することはよくあること、もう一度チャレンジする気持ちが重要であることを伝えましょう。





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