もともと禁煙の動機が高まっていた鈴木さんは、すでに健診の流れの中で、医師や保健指導者から短時間アドバイスを受けて、禁煙する気持ちがさらに高まっています。そこで、鈴木さんの禁煙したい気持ちが実際の行動につながるように、その橋渡しをすることがポイントになります。また、禁煙に踏み出せたか、問題はないかなどについて、フォローアップの支援ができるよう、連絡がとれる電話番号と時間帯を確認しておきます。それでは、初回面接の支援の例をみてみましょう。





「禁煙実行・継続の支援 初回面接 鈴木さんの場合」
保健師   鈴木さん、この機会に禁煙にチャレンジしてみませんか。

喫煙者   ええ、でも禁煙する自信があまりないので、禁煙治療を受けたいと思います。

保健師   鈴木さんのように禁煙に対する気持が高まっている人には、具体的に禁煙する日を決めてもらうようにお勧めしています。それが禁煙実行の最大の秘訣といわれています。鈴木さんは、いつから禁煙しようとお考えですか。 <禁煙開始日の設定>

喫煙者   いつから・・・ですか。具体的には考えていないのですが・・・
でも、そうだな、先に延ばしても仕方がないし、来週の月曜日から禁煙することにしようかな。

保健師   来週の12日の月曜日ですね。鈴木さんの場合は喫煙本数も多いので、医療機関での禁煙治療がお勧めです。自力や薬局のお薬を使う方法よりも、専門家の治療や指導を受けて禁煙したほうが止めやすいと思いますよ。 <禁煙方法についてのアドバイス>

喫煙者   ええ、今回は病院で禁煙治療を受けようと思います。

保健師   それがいいと思います。禁煙治療が受けられる医療機関リストをお渡ししますね。禁煙を開始する来週の月曜日までに受診できそうですか。 <禁煙治療が受けられる医療機関の紹介>

喫煙者   大丈夫だと思います。

保健師   治療では、禁煙の薬を使うと思いますので、それほどたばこが吸いたくてたまらないということはないと思います。でも魔法の薬ではないので、時にはたばこが吸いたくなります。その時に困らないように、今からしっかり作戦を立てておくといいですよ。たばこを吸いたくなったら、どうしたらいいと鈴木さんは思いますか。 <禁煙実行むけてのための問題解決カウンセリング>

喫煙者   そうですね。ガムやあめを食べる。でもあまり食べ過ぎると太るから、我慢するしかないかな。

保健師   鈴木さんのおっしゃる通り、シュガーレスのガムやあめを食べたり、我慢するのも一つの方法ですね。他には歯を磨いたり、体を動かしたりするのもいいと思いますよ。また、吸いたくなっても吸えないように、たばこや灰皿、ライターを処分するのもお勧めです。

喫煙者   なるほど、いろいろありますね。

保健師   具体的に自分が吸いたくなる場面を予想して、その時にできそうな対策をいくつか考えてみてください。

喫煙者   わかりました。早速来週からの生活をイメージして対策を考えてみようと思います。

保健師   他に禁煙するにあたって、何か心配なことはありますか?

喫煙者   う〜ん、特にはありません。

保健師   じゃあ、先ほどお渡しした医療機関リストの中から受診する医療機関を決めて受診して下さい。また、治療の内容によっては、禁煙開始日がずれることもあるかもしれません。禁煙治療を担当される先生とよく相談してみて下さい。鈴木さんの禁煙を応援していますね。 <医療機関受診にあたってのアドバイス>

喫煙者   ありがとうございます。

保健師   今回禁煙開始日を決められた方には、私達保健師から電話で支援をさせていただく予定になっています。お電話をさせていただいてもよろしいですか。 <電話フォローアップの説明>

喫煙者   はい、よろしくお願いします。

保健師   電話は、今日から2週間後、1ヵ月後、2ヵ月後、6ヵ月後の合計4回です。よろしければ、携帯電話の番号か何か、こちらからお電話しても差し支えないご連絡先を教えて下さい。こちらに書いてもらえますか?

喫煙者   わかりました。ここに書けばいいんですね。

保健師   はい。

保健師   ではお預かりしておきます。電話のフォローアップは、この予定で行いますが、お電話さし上げる時間帯としては何時頃がいいですか? <電話が通じやすい時間帯の確認>

喫煙者   お昼休みだったら電話に出られると思います。12時から1時ぐらいの間でお願いします。

保健師   わかりました。お電話は、この日の12時から1時頃の間でさせていただきますね。 それでは、まずは禁煙治療を始めて下さいね。




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