ケースTの鈴木さんが、禁煙治療を受けずにOTC薬のニコチンパッチを使って禁煙した場合のフォローアップの方法について、学習します。
 鈴木さんは、初回面接で禁煙治療を勧められましたが、結局医療機関を受診せず、薬局でニコチンパッチを買って禁煙に踏み切りました。ここでは、2週間後のフォローアップの内容を紹介します。OTC薬であるニコチンパッチを使ってうまく禁煙できた場合(シーン4)と、残念ながらうまく禁煙できなかった場合(シーン5)のそれぞれの支援方法を学習します。

<鈴木さんに対する初回面接後の電話によるフォローアップ−OTC薬編>




 ここでの支援のポイントは、予定していた禁煙治療を利用せずに、OTC薬のニコチンパッチを使って禁煙した鈴木さんの経過の確認です。OTC薬を使ったにもかかわらず、離脱症状を十分抑えきれなかった理由を説明し、今後も禁煙を維持できるよう支援します。
 それでは、初回面接から2週間後のフォローアップの例をみてみましょう。



「禁煙実行・継続の支援フォローアップ 2週間後 禁煙できている場合(OTC薬編)」
保健師   鈴木さん、こんにちは。健診センターの保健師の佐藤です。今、4,5分ほどお電話よろしいです?

喫煙者   ええ、構いませんよ。

保健師   その後たばこの方はいかがですか。<喫煙状況とその後の経過の確認>

喫煙者   ええ、禁煙できていますよ。かなりたばこが吸いたくてつらかったですが、ちょうどひどい風邪を引いていて、熱もあったのでたばこが吸えなかったのがよかったのかもしれません。

保健師   禁煙されているのですね。よく頑張りましたねえ。<禁煙に対する賞賛> どんな方法で禁煙されたのですか。何か薬は使われましたか?<禁煙方法の確認>

喫煙者   禁煙治療を受けに行くつもりだったんですが、仕事が忙しくて行けそうになかったので まずは薬局でニコチンパッチを買って禁煙してみました。実は、ニコチンパッチを使ってもかなりたばこが吸いたくてつらかったですね。特に最初の3日間がしんどかったです。

保健師   薬局のニコチンパッチを使われたのですね。鈴木さんの場合は1日30本のヘビースモーカーですから、薬局のニコチンパッチではニコチンの補給量が足りなかったと思いますよ。だからニコチンパッチを貼っていても、吸いたくてつらかったのだと思います。大変でしたね。

喫煙者   最初は、とにかく吸いたかったですね。でも、ちょうどひどい風邪をひいて、体調が悪かったのでたばこを実際に吸うことはありませんでした。今となってみれば、吸わずにすんでよかったです。本当に。

保健師   そうですか。今は、たばこを吸いたい気持ちはどうですか? 最初の頃と比べると少しは楽になりましたか。

喫煙者   ええ、随分楽になりました。たばこを吸いたいと思うことは1日に何度もあるのですが、それほど強い気持ちではありません。

保健師   だんだん禁煙も落ち着いてくると思いますので、このまま頑張って続けて下さいね。 何か困っていることや不安なことはありませんか。<禁煙継続のための問題解決カウンセリング>

喫煙者   今日で禁煙が2週間続いたので、そろそろニコチンパッチを中止してもいいでしょうか。折角たばこをやめたので、ニコチンの薬も早くやめたほうがいいかと思っているんですけど。

保健師   ニコチンパッチを早く中止してしまうと、喫煙に逆戻りをしたり、体重が大幅に増加しやすくなります。副作用の問題がなければ、予定通り残りの6週間もきちんと使われたほうがいいと思いますよ。

喫煙者   そうなんですか。わかりました。最後まできちんと使うようにします。

保健師   また、2週間後にお電話をさせていただきます。<次回フォローアップの確認> このままニコチンパッチを上手に使って禁煙を継続して下さいね。

喫煙者   ありがとうございました。




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