<短時間の禁煙アドバイス−お役立ちセリフ集>
 健診をはじめ各種保健事業の場における短時間の禁煙アドバイスの例を示します。それぞれの事業の場で喫煙者に禁煙の声かけをする際の参考にして下さい。


<禁煙した受診者への対応>
 時間がとれる場合、禁煙した受診者に対して、@禁煙したことを褒める、A禁煙した理由を尋ねて健康のリスクの把握につなげる、B禁煙を続けるにあたっての困りごとについて話し合う、の3点を行うとよいでしょう。まずは禁煙できたことを賞賛し、健康を害してやめたのか、健康のためにやめたのか等、禁煙した理由について尋ねます。それにより、同じ禁煙者でも病歴も含めて現在の健康リスクを概ね把握することができます。また、禁煙を続けるにあたって困っていることや吸ってしまいそうな状況などについて尋ね、解決策について話し合うことで禁煙継続の自信を高めます。

<新型たばこに関する情報提供について>

 新型たばことして、大きく2種類の製品が国際的に流行しています。一つが、たばこの葉を加熱して吸引する加熱式たばこです。もう一つは、ニコチンを含んだ溶液を加熱吸引する電子たばこ(e-cigarette)ですが、ニコチンを含有する製品については、2024年現在、国内において販売が承認されているものはありません。そのため、わが国で販売されている電子たばこはニコチンを含まない製品です。
 加熱式たばこの長期使用に伴う健康影響については、まだ使用が開始されてからの年月が短いため、明らかではありません。しかし、これまでの研究結果から、次のことがわかってきています。加熱式たばこは、紙巻たばこに比べるとニコチン以外の主要な有害物質の曝露量を減らせる可能性があります。しかし、有害物質の曝露が少ないからといって、それに見合った分、病気のリスクが減るかどうかについては明らかではありません。その理由は、たばこに含まれる有害物質の曝露に安全域がなく、紙巻たばこと比較して少量の有害物質の曝露であっても病気への罹患リスクが高まる可能性があるからです。紙巻たばこを併用した場合は、有害物質の曝露の低減さえも期待できない可能性が高くなります。ニコチンの吸収動態は紙巻たばこと類似しており、ニコチン依存症は継続されます。
 加熱式たばこによってハームリダクションが成立するかについて検討した研究によると、加熱式たばこはハームリダクション成立の4条件(リスク低減、禁煙効果、新たな公衆衛生上の懸念、保健当局の権限)のいずれも満たさず、その使用はハームリダクションにつながらないと結論付けられています 。

 一方、電子たばこは、グリセロールやプロピレングリコール、香料、水などの液体を電熱線で加熱して発生したエアロゾルを吸入する製品です。わが国ではニコチン入りの電子たばこは販売が禁止されていますが、ニコチンが含まれない電子たばこは一般消費財として流通しています。グリセロールやプロピレングリコールは食品として安全性が確認されて広く利用されていますが、肺から吸入することの長期の安全性は明らかではありません。また、液体が熱分解する際にホルムアルデヒドなどの発がん物質が生じることも指摘されており、ニコチンが入っていない製品でも害がないとは言えません。そのほか、危険ドラッグの吸入にも使われたりする事案が発生していることにも留意する必要があります。


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