5.? 2)損得勘定理論

 禁煙を決意するためには、従来行ってきた問題行動に伴うデメリットが、メリットを上回っていると認識される必要がある。人は一般に、何かを得た喜びよりも、何かを失う悲しみをより大きく認識する。また、遠い将来の大きなメリットより、今現在確実に得られる小さなメリットを選択してしまう傾向がある(近接効果)。喫煙者がこのような「認知の歪み」に左右されずに意思決定できるよう、自記式チェックシートで確認してもらっても良い。

 

一般に前熟考期には、喫煙者が感じる喫煙のデメリットは、喫煙のメリットを大きく下回っている。この状態から喫煙のデメリットが大きく増加し、両者が拮抗している状態が熟考期である。熟考期から喫煙のデメリットがさらに増加し、僅かでも喫煙のメリットを上回れば、変容ステージは準備期へと移行する。
一般に実行期に入って初めて、喫煙のメリットが減少し始める。禁煙していることが当たり前となるに従って、要支援者の感じる喫煙のデメリット(=禁煙のメリット)も並行して減少するが、バランス上は喫煙のデメリットがメリットを上回った状態が持続する。



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