禁煙後の体重増加に対する考え方
 禁煙後の体重増加の主な原因として、ニコチン離脱症状としての中枢性の食欲亢進と、ニコチンによる基礎代謝の亢進作用がなくなることがあげられる。離脱症状である食欲亢進は、10週以上続くため、禁煙が落ち着いてからも体重に気をつける必要がある。
 また、禁煙後の体重は、喫煙本数が多いほど、またニコチン依存度が高いほど増加しやすいといわれているので、ヘビースモーカーの場合は特に注意が必要である。禁煙後に体重をできるだけ増やしたくない場合は、禁煙補助剤の使用と禁煙後比較的早期から運動を勧めるのがよい。運動については、中等度の身体活動強度の運動が推奨される。禁煙が落ち着いてきたら、運動に引き続き、食生活の改善について取り組むようアドバイスする。食事については、禁煙直後から過度な食事制限をすると喫煙欲求を高める可能性があるので、禁煙が安定するまで待ったほうがよい。食事の改善については、高エネルギーの食品を減らして代わりに野菜や果物を増やしたり、飲酒量を減らしたりするのがよい。

下記に体重が増えた場合のアドバイスの例を示した。確認してみよう。


出典:ファイザー治験ビデオ「ロールプレイで学ぶ禁煙治療のためのカウンセリング」

医師のセリフ例を示す。
◆ 「●●さん、禁煙前に比べると体重が2kg増えていますね。体重についてはどのように考えていますか?」
◆ 「禁煙して体調がよくなって以前より食べる量が増えたことが原因だと思っていらっしゃるのですね。体調がいいのは素晴らしいことだと思いますが、あまり体重が増えすぎるのも心配ですね。何か運動をやってみませんか。運動はストレス解消にも効果がありますから、一石二鳥ですよ。」
◆ 「毎日体重を測定されるのは、とてもよいですね。それ以外に食事や運動面で何か改善目標を具体的に立てられることをお勧めします」
◆ 「体重は、あせらず時間をかけてゆっくり減らしていきませんか。禁煙が達成できたあなたならきっとうまくコントロールできると思いますよ。」


ページトップへ戻る