英国、米国と日本の男性における肺がんの年齢調整死亡率の推移を見ると(図表7)、英国では1970年ごろから、米国では1990年ごろから減少している。これに対して、日本の男性の肺がん年齢調整死亡率は1996年まで増加し、その後2003年までゆるやかな減少傾向にあったが、2004年には反転して増加に転じた。


 このような米国には見られないパターンは、日本の男性の1938年を中心とする出生コホートに見られる肺がん死亡率の「くぼみ」のため(図表8)である。この世代のたばこの消費が戦争の影響のため前後の世代に比べて少なかったことが原因と考えられる。肺がん死亡率がこのままでは反転増加していくおそれもある。これを回避するには、現在喫煙している者への禁煙の働きかけが特に重要である。



 なお、英国、米国と日本の女性における肺がんの年齢調整死亡率の推移を図表9に示した。すでに、英国、米国では女性における肺がん死亡率もピークを過ぎており、米国では明らかに減少しつつある。


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