(8)精神疾患患者においても禁煙の効果は大きい
・高い死亡率と疾病罹患率が改善される可能性がある。 
精神疾患患者における死亡率は一般人口よりも高く、生命予後は10〜20年短くmortality gap と言われる(文献1)。心血管疾患、呼吸器疾患は統合失調症において年齢を一致させた対照群よりも3倍高い。寄与の大きいものに高い喫煙率があげられ、禁煙により改善が望める。
引用文献
1. Hennekens CH, Hennekens AR, Hollar D, et al: Schizophrenia and increased risks of cardiovascular disease. Am Heart J. 2005; 150: 1115-1121
・抗精神病薬減量の可能性がある。
タールに含まれる炭化水素が肝臓の酵素を誘導することで、ある抗精神病薬の代謝
が亢進するため、喫煙していると抗精神病薬増量となりうる(図表11)。


・抗精神病薬減量により不随意運動をはじめとした有害事象減少の可能性がある。
・精神症状が改善する。
・更なる物質依存の危険性が減少する。
・経済的困窮が軽減される。
・禁煙の場所の増加に伴う活動制限がなくなる。
・スモーカーズ・フェイスや臭いは就職の妨げとなるが、タバコ臭がなくなる。
・火事のリスクが減る。
実際、禁煙した精神疾病患者からは下記のような喜びの声がしばしばきかれる。
「お金が減らない(タバコ代がかからなくなった)。その分、別なものを買える。」 「よく眠れるようになった。」 「咳や痰が減った。息切れがしなくなった。」 「吐き気がしなくなった。」 「薬が減った。」 「においを気にしなくていい。」 「自分に自信が出来た。」 「火事の心配がなくなった。」 「家族が喜んでいる。」
QOLの改善の他、特に身体合併症の予防効果・経済面での効果は大きいと考えられる。



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