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マイケル・サンデル「それをお金で買いますか 市場主義の限界」を読んで

はじめに
 「これから正義の話をしよう」やNHKテレビ白熱教室で有名なマイケル・サンデル教授の最新作の訳本「それをお金で買いますか」1)が2012年5月に早川書房から出版されたので、早速購入した。「医療、教育、政治……あらゆるものが売買されるこの時代、市場主義の暴走から『善き生』を守るために私たちは何をすべきか?」とのねらいで書かれたこの本は、序章「市場と道徳」、第1章「行列に割り込む」、第2章「インセンティブ」、第3章「いかにして市場は道徳を締め出すか」、第4章「生と死を扱う市場」、第5章「命名権」からなる。序章に示された「インドの代理母による妊娠代行サービス:6250ドル」、「主治医の携帯番号:年に1500ドルから」、「額(あるいは体のどこかほかの部分)のスペースを広告用に貸し出す:777ドル」、「製薬会社の安全性臨床試験で人間モルモットになる:7500ドル」、「あなたが肥満体だとすれば、4カ月で14ポンド(約6.3キログラム)痩せるといい:378ドル」、「病人や高齢者の生命保険を買って、彼らが生きている間は年間保険料を払い、死んだときに死亡給付金を受け取る:ことによると数百万ドル(保険内容による)」などの保健医療分野の例については、初めて知ることもあった。すべてが売り物になる社会に向かっていることに対して、サンデル教授は不平等と腐敗の面から異議を唱える。サンデル教授の立論には、多くの部分で賛成である。しかし、第2章「インセンティブ」の記述には、細かい点を含めて議論する必要があると考えるので以下に示すこととする。



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