日本禁煙推進医師歯科医師連盟
受動喫煙の法的防止

 今こそタバコ規制対策の推進を
 2011年1月PLoS Medicineに発表されたIkeda論文(2)は、予防可能な要因に起因する非感染性疾患及び外傷による成人死亡を分析し、2007年死亡のうち喫煙によるものが12.9万人、高血圧によるもの10.4万人と喫煙と高血圧が1位、2位を占めていたこと、さらに、過去数十年では、喫煙に関連するがん死亡者数が高齢者において増加する一方、高血圧に関連する脳卒中死亡者数は減少傾向にあることを明らかにした。さらに、生涯喫煙率は1930年代後半に出生し終戦直後の貧困を経験した世代で一時的に減少した後、1950年代の出生コホートまで上昇を続けたとするMarugame論文(3)を引用して、「有効な政策介入が行われなければ、喫煙に関連した死亡の増加傾向は、少なくとも1950年代後半の出生コホートが80歳を迎える2030年代まで続く可能性があると考えられる」とし、「国民の健康を改善するためには、政策立案者は喫煙が喫煙者自身のみならず非喫煙者の健康に及ぼす影響を的確に評価した一層厳格な禁煙対策を実施する必要がある。」と述べている。
 図は生年別年齢階級別男性肺がん死亡率の日米の比較である。このグラフから、米国男性では、1930年出生コホート以降肺がん死亡率が減少しており、今後順調に肺がん死亡率が減少していくと予測されるのに対して、日本では、1930年出生コホートでピークに達した後一時減少した後再び増加に転じ1950年出生コホートでのピークの後減少するというやや複雑なパタンをたどっている。これは、Marugame論文で示された生涯喫煙率のパタンと一致している。

 このことから、最近の日本の男性肺がん死亡率が減少しつつあるからと言って、このまま何も特別の対策を講じなくても、いずれ米国のようになるというのは甘い期待でしかない。現に、2月1日のがん対策推進協議会で配布された資料3(4)では、がん年齢調整死亡率(75歳未満男女計、人口10万対)がこれまで年2%のペースで減少してきたのに対して、2009年から2010年には83.4から84.3へと停滞していたことを示している。上記の資料では、この要因を明らかにしていないが、国立がん研究センターのがん情報サービスから部位別のがん年齢調整死亡率(75歳未満男女計)の推移(5)をみると、胃がんと肝がんでは順調に減少していたのに対して、肺がんでは減少が停滞しているだけでなく反転増加の兆し(2009年:14.9に対して2010年:15.1、人口10万対)も認められている。今こそ、国民の健康改善のために、FCTCに沿った厳格なタバコ規制対策を推進する必要があることを肝に銘じ、がん対策推進基本計画の変更において、タバコ分野では喫煙率と受動喫煙防止の数値目標を堅持するように働きかけるとともに、この目標を実現するための具体的な取り組みを進めるよう提案し実行に移していかなければならない。





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