(1)禁煙外来を開設するための準備
 これから禁煙外来を開設しようとする施設は、準備のためのチェックリスト(資料1)が参考になると思われる。問診票などの帳票類は禁煙治療の標準手順書
(http://www.j-circ.or.jp/kinen/anti_smoke_std/)からダウンロードできる

(2)禁煙外来を効率的に実施するための取り組み
 禁煙治療を開始するにあたり、各回の診療手順を定めておく必要性がある。その際、禁煙治療保険診療用クリニカルパスを参考にすると、治療の質を保つことができる。
 クリニカルパスとは、ある特定の疾患について標準化されたプロセスを使いながら、患者ケアを促進する代表的な方法論である。また、疾患ごとに、治療の日数を横軸、観察・検査・治療・栄養・看護などの医療従事者が行う行為を縦軸に置いて作成された、カルテと同様に使う記入用紙そのもののことも、クリニカルパスと呼ぶ。
 日本では、質の高い医療提供のための手段として、クリニカルパスが注目されている。クリニカルパスを導入することによって、以下の利点があげられる。
 ・チーム医療の推進
 ・治療の効率化
 ・治療の標準化と均質な医療の提供
 ・医療の質の管理
 資料2の禁煙治療保険診療用クリニカルパスを活用することで、医師・看護師の役割分担を明確化し、効率的かつ効果的な禁煙治療を実施することができる。実際に保険診療で行われている標準的な指導プランを、どの施設においても実施できるように作成されている。また、施設により医師と看護師の役割分担を変えることで、その施設に合った治療プログラムを作成することがでる。
 各診療を円滑にするために、ワークシートを12種類用意した(W1〜W12)。どの場面でどのワークシートを使うかは、クリニカルパスの中に記載されている。
【12種類のワークシート】
W1(禁煙宣言書)
W2(動機・自信の数値化)
W3(吸いたい気持ちの対処法)
W4(禁煙開始後の問題点と話し合い)
W5(禁煙の効果)
W6(失敗した時の対処法)
W7(タバコとストレス)
W8(体重管理)
W9(5回目に向けて)
W10(禁煙経過の振り返り)
W11(今後の自分への手紙)
W12(行動記録)

(3)病診連携システムの活用
 入院患者に対する禁煙治療は、その患者が入院前に少なくとも1回禁煙治療を受けていると、入院中の禁煙治療は薬剤料のみ保険を使って算定することが可能となる(診断群分類包括評価(DPC)対象病院等においては、薬剤料も包括されるため、別途清算することはできない)。そこで、入院治療目的で診療所から病院に喫煙患者を紹介する際には、その診療所で予め保険を使った禁煙治療を開始しておくことが望ましい。この場合、紹介先の病院で継続した禁煙治療が円滑に行われるよう、自施設で使ったクリニカルパスをコピーして紹介状に付けて治療経過を申し送ることが望まれる。

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